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自宅で仕事をしていると、家賃・電気代・スマホ代・ネット回線は、仕事と生活の両方に使っています。このうち何割を経費にしてよいのか。確定申告の前に、ほとんどの個人事業主が一度は迷うところです。
先に結論です。
- 経費にできるのは、仕事に必要な部分を「はっきり分けられる」ときのその部分だけです
- 仕事の分が50%以下でも、はっきり分けられれば経費にできます。これは白色でも青色でも同じです
- 分け方の基準は使った面積・時間・距離など、説明できるもの。「◯割までなら大丈夫」という決まった数字はありません
⚠ この記事について
法令・通達・国税庁の手引きは2026年10月12日に原文で確認しました。個別の割合が認められるかは、仕事の内容と使い方で変わります。迷ったら税務署か税理士に確かめてください。
1. 家事按分のルールは「はっきり分けられる部分だけ」
仕事と生活の両方にかかる費用を家事関連費といいます。所得税法では、家事関連費は原則として必要経費になりません。例外として必要経費になるのは、次の部分です。
- 主な部分が仕事に必要で、その部分をはっきり分けられるときの、その部分(白色・青色とも)
- 青色申告の人は、取引の記録などから仕事に直接必要だったことが明らかな部分
「主な部分」かどうかは、仕事に必要な部分が50%を超えるかで判断します。ただし50%以下でも、必要な部分をはっきり分けられれば、その分は経費にしてかまわないとされています(所得税基本通達45-2)。
判断するときは、仕事の内容、費用の中身、家族の構成、店舗を兼ねた家などの使い方を、まとめて見て決めます(同45-1)。
出典:所得税法施行令 第96条/所得税基本通達 45-1・45-2/国税庁 No.2210 必要経費の知識(いずれも2026年10月12日確認)
2. 青色と白色、副業の人の違い
上の2つ目(取引の記録から明らかな部分)が使えるのは、青色申告の承認を受けた人の、事業所得・不動産所得・山林所得だけです。
会社員の副業などで「雑所得」として申告する場合は、この2つ目は使えません。1つ目(主な部分が仕事で、はっきり分けられる部分)で考えます。
3. 費用ごとの分け方の考え方
国税庁の手引きは、家事の分と仕事の分を「使用面積や点灯時間などの適切な基準」で分けるよう書いています。費用ごとに、説明しやすい基準はこうなります。
- 家賃…仕事に使っている部屋の床面積の割合。仕事専用の部屋があると説明しやすくなります
- 電気代…仕事に使っている部屋の面積や、仕事をしている時間の割合
- スマホ・ネット回線…仕事で使った時間や通話の記録など。国税庁の手引きに具体的な割合の例はありません
- 車…仕事で走った距離の割合など。走行の記録を残すと説明しやすくなります
決めた割合と、その理由(部屋の広さ・1日の作業時間など)をメモに残しておくと、あとで聞かれたときに説明できます。帳簿や書類は、白色申告でも保存の義務があります。
なお、同じ家計の家族(生計を一にする親族)に払う家賃は、必要経費になりません。親の持ち家で仕事をしている場合などは注意してください。
出典:国税庁 令和7年分 収支内訳書(一般用)の書き方(PDF)/No.2210(いずれも2026年10月12日確認)
4. 帳簿へのつけ方:年末にまとめて家事分を外してよい
国税庁の「帳簿の記帳のしかた」には、1年分をいったん経費に入れておき、年末にまとめて家事の分を差し引く書き方の例があります。たとえば電気代140,000円のうち70%を家事分として外す、という形です(この70%は記帳の例で、目安ではありません)。
クラウド会計ソフトなら、口座やカードから取り込んだ明細に、家事按分の割合を設定しておけます。割合を一度決めて設定すれば、毎月の手間はほとんどありません。どのソフトを選ぶかはクラウド会計ソフトの比較にまとめています。
出典:国税庁 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用・PDF)(2026年10月12日確認)
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5. 按分をなくす方法:仕事専用に分ける
いちばん楽なのは、按分しなくて済むように、仕事用を分けてしまうことです。仕事専用の2台目のスマホや、仕事専用の口座・カードにしておけば、その費用は丸ごと仕事の分として説明できます。
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6. 持ち家・住宅ローン控除・消費税との関係
- 固定資産税は、仕事に使っている部分だけが必要経費になります。仕事のための借入金の利息も同じ考え方です
- 住宅ローン控除を受けている家を仕事にも使う場合、控除は住まいに使っている部分だけが対象になります(床面積の2分の1以上を住まいに使っていることが条件)。按分の割合と矛盾しないよう、税務署か税理士に確かめてください
- 住まいとして使ってきた家を、途中から一部だけ仕事に使う場合、住まいに使っていた期間の「目減り分」(耐用年数を1.5倍にして旧定額法で計算)を取得価額から先に差し引いた額が、これから経費にできる残り(未償却残高)になります。毎年の減価償却費は、取得価額に定額法の償却率を掛けて計算します(建物を平成19年4月1日以後に取得した場合)。そこに仕事部屋の面積の割合を掛けた分が経費です。土地は減価償却しません。住宅ローンも、経費になるのは利息の仕事の分だけで、元本の返済は経費になりません
- 消費税の課税事業者(インボイス登録をした方など)は、仕入税額控除も仕事の分だけです。所得税で按分した割合と同じ考え方で計算します
出典:国税庁 No.2210/No.1211-1 住宅借入金等特別控除/No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却・その計算例/確定申告書等作成コーナー「借入金利子」(元本の扱い。不動産所得の説明ですが、考え方は同じです)/消費税法基本通達 11-1-4・11-1-5(いずれも2026年10月12日確認)
7. 筆者の家事按分
筆者の按分は、いまのところ次のとおりです。
- 個人のスマホ:仕事に使っている時間をもとに、ざっくり50%
- ガソリン代:仕事で走った距離をもとに、ざっくり50%
- 自宅の仕事部屋:家全体に対する仕事部屋の床面積の割合で、ローンの利息・建物の減価償却費・固定資産税などを経費にする予定です。住宅ローン控除の期間はもう終わっているので、控除との兼ね合いは考えずに済みます
スマホとガソリンは、1年を通して同じ割合で計上しています。ざっくりした見積もりなので、ときどき1週間ほど使用時間や走行距離をメモしておくと、割合の根拠を説明しやすくなります。
まとめ
- 経費になるのは仕事の分をはっきり分けられる部分だけ。50%以下でも分けられればよい
- 青色の特例は事業所得などだけ。副業の雑所得には使えない
- 基準は面積・時間・距離。決めた割合と理由をメモに残す
- いちばん楽なのは仕事用を分けて、按分をなくすこと

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