まず、いちばん多い検索から答えます。
「個人事業主として LINE Pay を導入したい」という方へ。LINE Pay は、日本国内ではもう使えません。
LINEヤフー株式会社は、国内の送金・決済サービスをPayPayに一本化する方針を示し、日本国内における「LINE Pay」のサービスは2025年4月30日をもって終了しました。
出典:日本国内における「LINE Pay」サービス終了に関するお知らせ|LINEヤフー株式会社(2026年9月12日確認)
つまり「LINEで支払ってもらう」ことを考えていた方は、実質PayPayを検討することになります。この記事では、そこから先を扱います。
お店で対面で受け取るなら1〜5章、教室の月謝やネットの請求で受け取るなら6章から読んでください。7章は筆者の実際の使い分けです。
⚠ この記事の数字について
手数料・料率は、各社の公式ページで確認したうえで出典を添えています。ただし料率は改定されるため、申し込み前に必ず公式ページでご確認ください。
7章の「筆者の場合」の手数料は、筆者の契約の値です。
1. そもそも、個人事業主にキャッシュレス決済は必要か
手数料を払ってまで入れる価値があるのか。ここから考えます。
判断の軸は「客単価」と「その場で決めてもらう必要があるか」の2つです。
- 入れるべき|教室の月謝、サロンの施術、士業の相談料、物販。「現金がないので今日はやめておきます」が発生する業種
- 急がなくていい|請求書を送って銀行振込で回収している業種。振込手数料のほうが安く済みます
手数料は売上の2%前後です。「手数料を払ってでも、取りこぼしをなくす価値があるか」で決めてください。月商30万円なら、手数料はおよそ6,000円。その金額で取りこぼしが1件でも減るなら、十分に元が取れます。
2. 主要サービスの手数料と入金サイクル
個人事業主が現実的に選ぶのは、PayPayのQRコード決済か、カードも含めて1台でまとめられるSquareのどちらかです。
なお、PayPay にもクレジットカード・電子マネー・QRコードの30種類以上に対応するマルチ決済端末「PayCAS Mobile」があります。カードの手数料(2.20%〜)や、端末を4年以内に解約すると違約金がかかるなど、QRコード決済とは条件が違います(出典:PayCAS Mobile|PayPay・2026年10月27日確認)。この記事の PayPay は、QRコード決済の話です。
2-1. PayPay
- 初期費用・機器費用:0円
- 決済システム利用料:1.98%(税別)。「PayPayマイストア ライトプラン」に加入すると1.60%(税別)
- ライトプランの月額:1,980円(税別・1店舗ごと)。ライトプランは初期費用も1,980円(トライアルのキャンペーンで0円になる場合あり)
- 入金:月1回(月末締め・最短翌日入金)で振込手数料は無料
- 早期振込サービスを使う場合は0.38%(税別)+振込手数料(PayPay銀行20円/その他200円)
出典:費用と振込サイクル|PayPay(2026年10月27日確認)
ここで損益分岐点を計算しておきます。ライトプランは月1,980円を払って料率が0.38ポイント下がる仕組みです。
1,980円 ÷ 0.38% = 約52万円。つまりPayPayでの月間決済額が約52万円を超えないと、ライトプランは元が取れません。開業したばかりなら、まずは加入せず1.98%で始めるほうが無難です。
2-2. Square
- 月額固定費:0円(フリープラン)
- 対面決済:2.5%〜(年間キャッシュレス決済額3,000万円未満で、主要なカードブランドの場合。それ以外は3.25%〜)
- オンライン決済:3.6%/請求書決済:3.25%
- 入金:みずほ銀行・三井住友銀行なら翌営業日。その他の金融機関は毎週金曜
出典:Square 決済手数料(2026年10月27日確認)
2-3. 比較表
| PayPay | Square | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0円 | 0円(フリープラン) |
| 月額 | 0円(ライトプランは1,980円) | 0円 |
| 対面の料率 | 1.98%(ライトプランで1.60%) | 2.5%〜 |
| カード決済 | QRコード決済では対応せず(カードはマルチ決済端末 PayCAS Mobile で対応・別の条件あり) | 対応 |
| 入金 | 月1回・手数料無料 | 銀行により翌営業日 |
料率だけ見ればPayPayのQRコード決済が安く、入金の速さと、1台でカードまで受けられる点ではSquareが上です。ここが選択の分かれ目になります。
3. 【重要】見落とされがちな「入金サイクル」が資金繰りを決めます
手数料の0.5ポイントの差より、入金までの日数のほうが効く場面があります。
開業したばかりの時期は、手元の現金が薄い状態です。売上が立っても、お金が入ってくるのが1か月後なら、その間の仕入れや家賃は自分の貯金から払うことになります。
- PayPay|月1回入金。月初に売れた分は、入金まで最大で1か月以上かかります
- Square(みずほ・三井住友)|翌営業日。ほぼ現金と同じ感覚で回せます
手元の資金が薄い開業初期は、料率が多少高くても入金が速いほうを選ぶ、という判断は十分に合理的です。PayPayにも早期振込はありますが、0.38%と振込手数料がかかるため、結果的に料率の優位が消えます。
4. 決済手数料は経費です。記帳のしかたに注意
ここは、noteの手数料のときと同じ話です。入金額を売上にしてはいけません。
10,000円の施術をPayPay(1.98%)で受けた場合、こう分けます。
- 売上|10,000円(お客様が払った金額)
- 経費(支払手数料)|198円
- 入金|9,802円
入金された9,802円だけを売上として記帳すると、売上も経費も実態より小さく記録されます。国税庁は必要経費を「その収入を得るために直接要した費用」などと説明しています(国税庁 No.2210 必要経費の知識)。決済手数料は、まさにこれに当たります。
もうひとつ実務上の注意があります。入金は月1回まとめてなので、「1件ずつの売上」と「まとめて入った1本の入金」を突き合わせる作業が毎月発生します。クラウド会計ソフトと連携させておくと、この手間がかなり減ります。
売上が伸びてきたときの消費税の扱いは、消費税はいつから払うのかにまとめています。
5. 申し込みの前に確認しておくこと
- 屋号の口座を用意しておく。入金先を事業用の口座にしておくと、記帳がはるかに楽になります
- 開業届の控えを手元に。審査で事業の実態確認を求められることがあります
- 店舗の通信環境を確認する。決済端末はネット接続が前提です。店舗・教室の顧客用Wi-Fiやテザリングを先に整えておいてください
- 審査には日数がかかります。開店日から逆算して申し込んでください
6. 対面でないとき:月謝やネットの請求で代金を受け取る
教室の月謝や、コンサル・制作の代金のように、その場で端末を出さずに受け取る商売もあります。この場合は、店頭の端末ではなく、ネットで支払ってもらうサービスを使います。
6-1. 月謝のように、毎月決まった額を受け取る
教室向けの管理サービスには、生徒の管理と月謝の引き落としが1つになったものがあります。たとえば「コエテコマネージャー byGMO」は、月謝をクレジットカードか口座振替で毎月自動で受け取れる教室管理システムです。決済には審査があり、カード決済の手数料は「1.5%から」で審査により決まる、と案内されています。
出典:コエテコマネージャー byGMO(2026年10月27日確認)
この形では、決済の会社を自分で選ぶのではなく、管理サービスがつないでいる決済をそのまま使うことになります。管理サービスを選ぶときに、決済の手数料と払い方(カード・口座振替)も一緒に見ておきましょう。
6-2. 仕事の代金を、ネットで受け取る
請求のたびに支払いのページを用意する、自分のサイトで売る、という場合は、ネットの決済サービスを直接使います。代表的な2つの料金です。
| Stripe | fincode byGMO(直接使う場合) | |
|---|---|---|
| 初期費用・月額 | 0円 | 0円 |
| カード決済 | 3.6% | 3.6% |
| そのほか | PayPay 3.98%/コンビニ 3.6%(最低120円) | 口座振替・銀行振込 3.6%(最低130円/件。請求が失敗しても最低手数料がかかる)。口座振替は別に登録の手数料(1件100〜400円・税抜・登録の方法による) |
| 入金 | 日本では毎日の入金は無く、手動か週1回・月1回を選ぶ | すべての決済手段の売上を入金日にまとめて入金・振込事務手数料0円 |
出典:Stripe 料金体系・Stripe 入金・fincode byGMO 料金(いずれも2026年10月27日確認)
Stripe は、WordPress で作ったサイトにもつなげられます。ネットショップのプラグイン WooCommerce を入れたサイトなら、Stripe と WooCommerce が出している公式のプラグイン(WooCommerce Stripe Payment Gateway)で、サイトの中で支払いを受け付けられます。
入金のタイミングには注意してください。Stripe の日本のアカウントでは、売上が引き出せるようになるまで、最初は7日(初回の入金は通常7〜14日)、その後は4営業日かかります。毎日の自動入金は無く、既定は手動(週1回・月1回にも設定できます)で、手動の入金は指示してから着金まで通常1〜4営業日です。店頭の Square(銀行により翌営業日)より、お金が手元に来るまで時間がかかります。3章の資金繰りの話は、ネットの決済でも同じです。
6-3. 申し込みに要るもの(Stripe の場合)
Stripe の日本向けの案内では、登録に次の情報が要るとされています。
- 事業の情報|名前・住所・業種・事業の内容・Webサイトの URL。個人事業主は、屋号ではなく個人の名前で登録するよう書かれています
- 代表者の情報|氏名・生年月日・住所・電話番号
- 本人確認書類|運転免許証・マイナンバーカード・パスポート・在留カードなど
- 入金先の銀行口座(国内)
審査はふつう2〜3営業日、追加の書類を求められると1〜2週間かかることがある、とされています。また、サイトに商品の説明や特定商取引法にもとづく表記が無いと、断られることがあるとも書かれています。申し込む前に、サイトの表記を整えておきましょう。
出典:Getting Started with Stripe: A Guide for Users in Japan|Stripe(2026年10月27日確認)
7. 筆者の場合:教室の月謝と会社の仕事で、2つを使い分けています
筆者は、教室の月謝と会社の仕事の代金で、別々の決済を使っています。どちらも店頭の端末ではなく、6章の「対面でない」受け取り方です。
- 教室の月謝|fincode(コエテコマネージャー経由)。教室の管理にコエテコマネージャーを使っていて、月謝の決済はそこにつながっている fincode です。管理サービスとセットなので、決済の会社を選ぶ余地はありませんでした
- 月謝の払い方|クレジットカード払いと口座振替の両方を用意しています
- 月謝の手数料|筆者の契約では、カード決済が3.6%、口座振替が1件130円です。料率は審査で決まるため、公式ページの「1.5%から」とは違います
- 会社の仕事の代金|Stripe。初期費用も月額もかからず、WordPress で作った会社のサイトにつないで使えるからです
月謝のように毎月同じ額を受け取るなら、1件いくらの口座振替が効きます。月謝10,000円なら、筆者の契約ではカード払いの手数料が360円(3.6%)、口座振替が130円です。ただし月謝がおよそ3,600円より安いと、カード払いのほうが手数料は安くなります。
申し込みから使えるまでの日数や、出した書類の細かいところは、記録が残っていません。6-3 の公式の案内を目安にしてください。
8. 決済とあわせて整えると効くもの
決済だけ入れても、来店数は増えません。「支払える」と「来てもらう」は別の問題です。
- 予約の受付|LINE公式アカウント×Googleカレンダーで0円の予約システムを作れます
- リピートの導線|LINE公式アカウント。決済のあとに友だち追加してもらう流れが自然です
- 新規の入口|SNSを使った集客。認知から予約までをつなぎます
「知ってもらう → 予約してもらう → その場で払ってもらう → また来てもらう」。決済は、この4つ目と3つ目をつなぐ部品です。単体で導入しても効果は限定的です。
9. まとめ
- LINE Payは日本国内では2025年4月30日に終了。PayPayに一本化されました
- PayPayは1.98%(税別)、初期費用0円、入金は月1回で手数料無料
- PayPayマイストア ライトプランは、月間決済額が約52万円を超えてから。それ未満なら損です
- Squareは対面2.5%〜だが、みずほ・三井住友なら翌営業日入金。カード決済にも対応
- 月謝やネットの請求は、教室管理サービスについた決済か、Stripe・fincode。直接使うならカード3.6%が目安で、入金は Square より遅め
- 開業初期は、料率より入金の速さが効くことがあります
- 決済手数料は経費。入金額だけを売上にしないこと
開業手続きそのものがまだ途中の方は、開業準備ロードマップで順番を確認してください。
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